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会 史
平成29年度
第37回長野県工芸展

第1~36
長野県工芸展

会員作品集

県民芸術祭2017参加

第37回 長野県工芸展

松本 松本市美術館 市民ギャラリーA・B

平成29年9月6日(水)~9月10日(日)

午前9時~午後5時 (最終日は午後4時終了)

主 催/ 長野県工芸会・ SBC信越放送

共 催/ 長野県・ 長野県教育委員会・ 長野県芸術文化協会

後 援/ 松本市・ 松本市教育委員会・ 信濃毎日新聞社 市民タイムス

 


 審査 委員

榎 本  徹 (岐阜県現代陶芸美術館 顧問)

外 舘 和 子 (工芸評論家・愛知県立芸術大学非常勤講師)

鈴 木 潔  (滋賀県長浜アートセンター館長)

早 川 研 夫 (長野県工芸会 会長)

(敬称略・順不同)

審 査 講 評

審査委員長 榎本 徹


 第37回長野県工芸展は96点の応募があり、そのうち95点が入選をした。落選はたった1点である。落選作品1点というのはここ何年も例がない。この1点とて、技術ではなく、いわば考え方での落選であり、惜しい作品だった。このことは、展覧会全体のレベルが上がっていることを示しており、出品数はやや減ったものの、すぐれた作品が多かったことを示している。とくに個々の作家が、その技術をあげており、明らかに今までとは違う作品を見ることができたことは審査委員としては嬉しいことである。とくに今年は陶芸に優れた作品が多かったのが印象的であった。

 その陶芸は、受賞作の大半を占め、受賞にいたらなかった作品のなかにも、明らかに受賞レベルに達していた作品がかなりの数に上ったことを記しておきたい。ことに、茶碗や急須という、いままであまり目立たなかった作品にもいいものがあったことも喜びたい。陶芸以外では、
 漆工作品に素晴らしいものが出されたのがうれしい。ここ数年を思うと、今年は作品の大きさが少し遠慮気味だったことが気になることで、1年に1度の展覧会、ぜひ大きさでも頑張ってほしい。近年、公募展の出品点数が減少しているのは、どこの公募展でも指摘されていることであるが、それぞれのジャンルで、競い合うことで、必ず新しい地平が開かれて来ることは過去にも実証されており、意欲的な作品が数多く出品されることを期待したい。
 今年は陶芸が好調だったと記したが、従来見なかった新鮮な技法やデザインが目についた。ひとりの作家の成長を見ることも、審査の楽しみである。ぜひ多くの作家の奮起を期待したい。

 


第37回 長野県工芸展 入賞作品

長野県工芸会長賞

静寂の囁き」
西澤伊智朗
陶芸

長野県知事賞

漆筥「漆演」
小坂 進
漆芸

SBC信越放送賞

青釉線文壷
水野雅史
陶芸

長野県教育委員会賞

夜の暦
中山 康
陶芸

信濃毎日新聞社賞

結晶釉大壺
本間友幸
陶芸
北澤美術館賞
粉引茶碗
荻原恒夫
陶芸
奨励賞
川辺の花
木下紀子
染織
奨励賞
金井すみ江
人形

 


長野県工芸会長賞

静寂の囁き(陶芸)

西澤伊智朗 (長野市)

 植物の実を思わせるどっしりとしたかたち。
上部のふくらみや突起、底の方の凹凸など、全体のフォルム自体が変化に富んでいるが、加えて表面の亀裂が、大地の恵み、ないし大地そのものの豊かさを想わせる。
 プリミティブでダイナミックな風貌だが、一方で、細部に及ぶ丁寧な作りに繊細さもうかがわれる。
 やきものならではの表現として、たくましさと繊細さを両立させた優品である。

外舘和子

 


長野県知事賞

漆筥「漆演」 (漆芸)

小坂 進 (塩尻市)

 朴材を用いた白檀塗の筥である。金銀箔、金銀粉を用いて表現した直線的なモチーフが深い飴色の深層でほのかに輝いている。装飾を単純化した寡黙な造形から匂い立つ気品、磨き上げられた平滑面が放つテクスチュアの完成度の高さなど、見るべきものが多い。
蓋の中央に象嵌された夜光貝の虹彩が幻想的な趣を添えている。


鈴木 潔

 


SBC信越放送賞

青釉線文壷(陶芸)

水野雅史 (飯田市)

 なだらかな曲面を描く、優しいフォルム。
 器の外側には、茶色の地に白い縦の櫛目、その上にジグザグの青い波模様が水平に走り、器の内側は外側の波模様と同じ青い釉薬が覆う。全体に、竹で編んだ籠を思わせる柔らかい雰囲気の作品世界である。
 声高な主張はせず、あくまでも穏やかでありながら、素朴さとモダンさが無理なく共存する表現として、 大いに共感を呼ぶ作品である。 

外舘和子

 


長野県教育委員会賞

夜の暦(陶芸)

中山 康 (小布施町)

 
 

 紐づくりで築き上げた抽象形態は、上部と底面は楕円を成す広義の柱形だが、途中で屈折し、内部の多重構造を覗かせるユニークなフォルムである。
 また、穴窯焼成による表情の豊かさも大きな魅力となっている。
下方の緋色、中央の焦げ、上面には灰がかかり、白化粧とのコントラストを示している。窯の奥に置いて焼成したことによる発色と質感が、自然な雰囲気で
かたちの中に生かされている。

外舘和子

 


信濃毎日新聞社賞

結晶釉大壺(陶芸)

本間友幸 (安曇野市)

 
 大きな花びら三枚で包み込んだような、ゆったりとしたかたち。
上部はモスグリーン、下方は白っぽく発色し、結晶の密度や大きさにもコントラストがみられるのは、結晶釉を、上を厚く、下を薄く掛け分けたことによる。
 作者は長らく結晶釉や貫入を研究してきたが、本作では、おおらかな形態と釉調のバランスを巧みに制御し、従来の作品とは大きく異なる表現効果として
結晶釉を扱い、新たな世界を築いている。

外舘和子

 

 

 


北澤美術館賞

粉引茶碗(陶芸)

荻原恒夫 (須坂市)

 

 私は茶碗では「かまえ」ということを大事にしている。この茶碗はじつにいいかまえをした茶碗である。また茶碗において大事な高台もいい。高台脇の削りも堂に言ったものである。井戸型の茶碗はあまりいじりすぎると嫌味が出るが、この茶碗にはその心配もない。
とくにこの茶碗がいいのは焼き上がりである。御本を思わせるピンク色はいやみなくきれいな発色を見せている。むずかしい井戸型の茶碗でここまで見せた完成度に敬意を表したい。


榎本 徹


奨励賞

川辺の花(染織)

木下紀子 (松本市)

 
 

 緯糸に布を裂いて作ったテープ状の素材を用いて織り上げた裂織作品。色とりどりの経糸を組合せ、花咲く川辺を心象風景風に表現している。緯糸の幅や経糸の流れを細かく変化させて水面の揺らぎを表すなど、細かい工夫が随所に見られる。
                           鈴木 潔


 

 

 


奨励賞

(人形)

金井すみ江 (安曇野市)

 
 


 作者には7人の孫がいる。その子らをモチーフにした群像表現で、制作に1年をかけた労作である。像の安定を考慮して2名ずつを連結した3組のグループを配置している。連関に不自然さを感じさせないために手や顔の向きの調整に苦労したという。
 古風な縮緬の衣装をまとわせた幼児たちの姿に、作者自身の子供時代の思い出が重なる。なつかしい郷愁を漂わせた作品である。


鈴木 潔

 


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入選者一覧

会員…長野県工芸会会員

紺色…北澤美術館「長野県工芸展秀作展」選出作品

色象嵌線文花器 会員 西村純一 陶 芸
白磁流線文香炉 会員 西村純一 陶 芸
お酌ネコ 一般 野沢尚志 陶 芸
初秋の装い 一般 仙田貴子 陶 芸
鉄釉赤文蓋物 一般 垣内秋男 陶 芸
松代釉鉄絵花器 一般 垣内秋男 陶 芸
盛泥菊花文壷 一般 松井都矢子 陶 芸
盛泥花文陶筥 一般 松井都矢子 陶 芸
バラ唐草紋大鉢 一般 大久保利子 陶 芸
緑華紋鉢 一般 大久保利子 陶 芸
安らぎ 会員 青木一浩 陶 芸
象嵌幾何文壺 一般 小林聖生 陶 芸
Craggy 一般 小林聖生 陶 芸
和紙染花文鉢 一般 吉川孝子 陶 芸
焼締壷 会員 宇都宮良幸 陶 芸
二色掛分け鉢 会員 宇都宮良幸 陶 芸
搖藍 会員 浜 利秋 陶 芸
青い羽陶 会員 浜 利秋 陶 芸
藍絣紋大皿 会員 愛甲宏明 陶 芸
呉須絵市松紋大皿 会員 愛甲宏明 陶 芸
雪輪雷鳥水指 会員 小池智久 陶 芸
皿 春 一般 木村由里子 陶 芸
皿 秋 一般 木村由里子 陶 芸
Milky Way 会員 荒井寿子 陶 芸
浅葱大鉢 ~萌ゆ~ 会員 荒井寿子 陶 芸
松代釉波紋様壷 会員 川合皓 陶 芸
黒天目花器 会員 川合皓 陶 芸
練上薔薇文輪花組鉢 会員 寺島ひとみ 陶 芸
黒化粧トライバル 会員 北沢 幸男 陶 芸
鉄とTBM 会員 北沢 幸男 陶 芸
静寂の囁き 会員 西澤伊智朗 陶 芸
鉄赤釉大鉢 会員 堀内珠実 陶 芸
ジュリアン・ソレル 会員 篠田弘明 陶 芸
染付組皿「山里の春」 会員 篠田弘明 陶 芸
陶小紋 祝壷 会員 大石 操 陶 芸
練上花紋組鉢 会員 寺澤里美 陶 芸
思索 Ⅱ 会員 佐藤今朝寿 陶 芸
洗い出し焼締花器 水滴 一般 宮坂虔二 陶 芸
洗い出し焼締筒型花入 一般 宮坂虔二 陶 芸
鉄釉線文方壺 会員 高地善之 陶 芸
織部貼花壺 会員 谷口節子 陶 芸
金彩牡丹置物 会員 谷口節子 陶 芸
焼締茶碗 会員 原民雄 陶 芸
花器「彩雲」 会員 吉田美恵子 陶 芸
備前焼き締め花器 会員 吉田美恵子 陶 芸
紅葉文象嵌大皿 会員 松本邦之 陶 芸
八角底広口花挿し 会員 松本邦之 陶 芸
野葡萄文花器 一般 依田礼子 陶 芸
赤菱文大鉢 一般 依田礼子 陶 芸
緑斑紋縦壺 一般 三村貞夫 陶 芸
碧珠志野縞文鉢 会員 丸山正行 陶 芸
月下夏草文鉢 会員 丸山正行 陶 芸
色象嵌カタクリ文深鉢 会員 小林陶春 陶 芸
吹墨白樺林図角皿 会員 早川研夫 陶 芸
吹墨赤絵レンコン文鉢 会員 早川研夫 陶 芸
粉引茶碗 会員 荻原恒夫 陶 芸
練込繧繝彩色紋様八角組皿 会員 木内洋介 陶 芸
炭化抹茶碗 会員 宮澤弘幸 陶 芸
水指し 白の誘い 会員 宮澤弘幸 陶 芸
焼締急須 会員 安藤哲夫 陶 芸
急須 会員 安藤哲夫 陶 芸
掻落し泥彩ケシ文鉢 会員 廣瀬弘司 陶 芸
陰影が刻まれてゆく 会員 竹内君則 陶 芸
夜の暦 会員 中山 康 陶 芸
釉裏紅象嵌壷「流」 会員 篠田明子 陶 芸
黄金色の風が吹き抜ける里 会員 塚田光弘 陶 芸
流線文扁壺 会員 坂口禮子 陶 芸
面取り花入 会員 坂口禮子 陶 芸
炭化線文鉢 会員 水野雅史 陶 芸
青釉線文壷 会員 水野雅史 陶 芸
花笑う 会員 大森國子 陶 芸
月白鈞窯輪花鉢 会員 土屋 晃 陶 芸
結晶釉大壺 会員 本間友幸 陶 芸
紅志野花器 会員 本間友幸 陶 芸
焼締花入れ 会員 野池光昭 陶 芸
大鉢 会員 野池光昭 陶 芸
紬織着物「さくら さくら」  会員 中林康江 染 織
型染着物「季賑」 会員 佐藤亜都子 染 織
訪問着 冬野  一般 小山仁郎 染 織
風呂先屏風 海鳴 一般 小山仁郎 染 織
お兄ちゃん、ほら早く! 会員 木村不二雄 染 織
川辺の花 会員 木下紀子 染 織
会員 金井すみ江 人 形
チョリス 会員 赤津律子 人 形
いわし雲 会員 大輪冨美子 人 形
花野辺 一般 湯田明美 人 形
宮女 一般 湯田明美 人 形
落葉樹 会員 原山桂子 人 形
むかし、むかし パート2 一般 星野幸恵 人 形
アーメン 一般 星野幸恵 人 形
鉄線編盛籃「朧げ」 会員 小出文生 木 竹
漆筥「漆演」 一般 小坂進 漆芸
一閑張漆筥 一般 小坂進 漆芸
有線泥七宝「森の中へ」 会員 平林義教 諸工芸
有線七宝、香合「音の秋」 会員 月岡栄子 諸工芸

会員…長野県工芸会会員

紺色…北澤美術館「長野県工芸展秀作展」選出作品


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