NAGANOKEN-KOGEIKAI

県民芸術祭2011参加

第31回 長野県工芸展

松本市美術館 市民ギャラリーA・B

午前9時~午後5時
(最終日は午後4時終了)

平成23年(2011年) 9月28日(水)~10月2日(日)

主 催/ 長野県工芸会・ SBC信越放送

共 催/ 長野県・ 長野県教育委員会・ 長野県芸術文化協会

後 援/ 松本市・ 松本市教育委員会・信濃毎日新聞社・市民タイムス


 


アイコン 審査 委員

 竹 内 順 一 (松本市美術館 館長)

 外 舘 和 子 (美術評論家)

 鈴 木   潔 (黒壁美術館 館長)

 横 山 勝 彦 (長野県信濃美術館  副館長)

 小 出 文 生 (長野県工芸会 会長)

(敬称略・順不同)


審 査 講 評


審査委員長  外 舘 和 子


 第31回長野県工芸展は、東日本の震災による世の中の萎縮ムードにもかかわらず、152点の応募があった。

 工芸や美術が「余剰」ではなく、むしろ「必須」のものであることを、長野県の作り手たちが示してくれたようで誠に頼もしい。そのうち115点が厳正な審査により入選となった。

 出品数のうえで最多を占める陶芸は、とりわけ常連の出品者のなかに、従来の自作とは異なる新たな挑戦によって成果を示した作品が目を引き、それらは受賞作にも顕著に表れている。しかし一方で、旧来的な形態に終始し、作者の創意が余り感じられないものも散見された。特に、焼き締めの壷や、茶碗など、通念的なフォルムや釉調に甘んじる姿勢は改めなければならないであろう。

 染織は全体に水準が高く、七宝なども点数は少ないものの質の高さが際立っていた。人形は数の減少のみならず、やや細部の荒さ、あるいはポーズ、バランスに一考を要するものがみられた。また、漆芸は少数ながらユニークな作品が出品されている。

 展覧会全体としては、長野県工芸展らしいバラエティに富んだ幅広い作風がそろい、来年に向けて早くも期待が増している。

 


 

第31回 長野県工芸展 入賞作品

長野県工芸会長賞

安 曇 野

佐藤亜都子

染織

長野県知事賞

刃裂彩花器
篠田弘明
陶芸

SBC信越放送賞

たまごの時感
大森国子
陶芸

長野県教育委員会賞

鉄 仙
大塚里美
諸工芸

信濃毎日新聞社賞

紫紅釉渦潮皿
土屋 晃
陶芸
北澤美術館賞
布目線文大皿
宮澤道隆
陶芸

 


長野県工芸会長賞

安曇野 佐藤亜都子

安曇野(染織)

佐藤亜都子 (安曇野市)

 

 山並みの連なり、その隆々とした稜線の力強さそのものを繰り返し、文様とした作品。山々の間を飛ぶ鳥も連続紋様のなかに生きている。

 着物の肩から裾に向かって、ピンクなどの暖色系、ブルーのような寒色系と、配色に変化をつけながら、全体としての色調バランスも上手く調整されている。

 写実から出発しながら、説明調にならず、着物の新鮮な「染め模様」にまとめ上げた力量は見事というほかはない。

 
(外舘和子)

 

 


長野県知事賞

刃裂彩花器 篠田弘明

刃裂彩花器(陶芸)

篠田弘明(塩尻市)

 扁平台形型の花器である。

 口縁部は、優雅な曲線を描いて開く。その口縁部から急速に底部に向かって窄まる。胴部上下に白いマット釉を配し、帯状の窓を大きくあけ、ここに、即興的で、かつ、理知的な施文がある。

 鋭い刃物で輪郭をとり、そこに象嵌のように溶化化粧土で、円形や方形文を沁みこませる。 

クレーの絵を思わす効果がある。こうした技巧を凝らしていながらも、本作が与える印象は、きわめて爽やかである。ここが作者の天賦の才能なのであろう。

(竹内順一)

 


SBC信越放送賞

たまごの時感 大森国子

たまごの時感(陶芸)

大森国子(長野市)

 たまごがたのふっくらとしたかたち。

 丸みのあるフォルムに即した、変化に富んだ鉄釉のかけわけが軽快である。
模様に合わせて、口を三角に、しかも曲線で切り取った点も秀逸である。


ボディの土そのものに不純物の混じった素朴な雰囲気あり、それを損なわない程度に、楽しげな上絵の斑点も施されている。作品全体に嬉々とした時間が漂うとともに、確かな一つの世界観を示している。

(外舘和子)

 

 


長野県教育委員会賞

鉄仙 大塚里美

鉄 仙 (諸工芸)

大塚里美(東京都)

 自宅に咲いた鉄仙をモチーフにした作品である。

 アール・ヌーヴォーを思わせるこの作品は、まさにデザインの面で、大胆で明快である。細部にとらわれることのない表現は、全体としてくっきりとした印象を残す。
太細の二種の線を使い分けているが、象嵌された銀線は、時に停滞しており、技術的にはさらに改善の余地があるだろう。

 しかし、器の大きさに対する模様のバランスも絶妙で、作者の鉄仙を見つめる感情がストレートに伝わってくる。

(横山 勝彦)

 

 


信濃毎日新聞社賞

紫紅釉渦潮皿 土屋 晃

紫紅釉渦潮皿(陶芸)

土屋 晃(長野市)

 渦潮に見立てた2条の曲線がしのぎ立ち、しなやかな動勢を描いている。

 焼成の過程で起こる釉薬の流れをコントロールしながら、柔らかいグラデーションを表現するのは容易ではないが、本作では数度の焼成を経て鮮烈な色彩とぼかしの共存が見事に達成されている。

 マスキングテープを使用した縞模様の直線的な表情が、曲線主体の器形に心地よいアクセントを与えている。

(鈴木 潔)

 

 

 


北澤美術館賞

布目線文大皿 宮澤道隆

布目線文大皿(陶芸)

宮澤道隆(長野市)

 全体に布目を付し炭化焼成した暗緑色の素地に乳白色のマット釉をかけている。

 鋭く交錯する線条文は、マット釉の濃度を変えて色調の変化を与えたもの。暗緑色の線はマット釉をかけずに素地の色をそのまま見せ、ベージュ色の線には薄く釉をかけてこの発色を得ている。

 さらに釉薬の厚みを増すことで白い布目の精粗を変えている。一色の釉薬のみで多彩な色調を発色させた演出が心憎い。

 幾何学的に整理されたシャープな文様と、ゆるやかな曲線を描いて湾曲する器形が融合して心地よいリズムを奏でる作品である。                     

(鈴木 潔) 

 

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入選者一覧

会員…長野県工芸会会員

波紋平鉢
会員
青木よし子
陶 芸
薫風
会員
赤津律子
人 形
漆抽象絵皿大徳
 
秋山泰宏
漆 芸
栃漆盛器素変
 
秋山泰宏
木 竹
風立ちぬ
会員
荒井忠吉
陶 芸
春砂
会員
荒井忠吉
陶 芸
へら目焼締大花器「翔」
 
荒井寿子
陶 芸
無限の宙(そら)
 
荒井寿子
陶 芸
秋桜大壺
 
荒井由起美
陶 芸
超新星
 
安藤哲夫
陶 芸
うなずく
 
池田崇
陶 芸
遥かを見る’10(組物)
 
池田崇
陶 芸
自然釉花器
 
市川あや子
陶 芸
遥かなるアンデス
 
宇野修栄
陶 芸
縄文のアフリカ
 
宇野修栄
陶 芸
白いあしおと
 
江澤南海子
陶 芸
高原の風
 
大平時江
人 形
鉄仙
 
大塚里美
諸工芸
静 暁
会員
大槻 隆
陶 芸
陶小紋 FUGI
会員
大石 操
陶 芸
たまごの時感
会員
大森国子
陶 芸
悠久
会員
大森国子
陶 芸
座敷芸
会員
大輪冨美子
人 形
真夏のパフェにかたつむり
 
岡部鈴夏
陶 芸
movement再生
会員
荻原恒夫
陶 芸
緋だすき長壺
 
小澤義忠
陶 芸
黄瀬戸釉水指
 
小澤義忠
陶 芸
風の音
 
金子繁三
陶 芸
流 麗
 
金子繁三
陶 芸
焼締壺
 
川合皓
陶 芸
天目角花器
 
川合皓
陶 芸
流れに遊ぶ
 
木下紀子
染 織

草木染きもの
「新緑のハーモニー」

会員
木村不二雄
染 織
イキル風景2
会員
小池智久
陶 芸
鉄線編盛皿
会員
小出文生
木 竹
灰陶・熇器
会員
高地善之
陶 芸
一閑張机「わび」
会員
小坂 進
漆 芸
秘色二重大皿
 
小林洋一
陶 芸
窯変壺「仰望」
 
佐藤今朝寿
陶 芸
会員
酒井富美子
陶 芸
花心Ⅲ
会員
坂口禮子
陶 芸
安曇野
 
佐藤亜都子
染 織
 
佐藤亜都子
染 織
華鬘草花瓶
会員
篠田明子
陶 芸
丘虎の尾花瓶
会員
篠田明子
陶 芸
刃裂彩花器
会員
篠田弘明
陶 芸
蒼い器
会員
篠田弘明
陶 芸
穏やかな秋
 
下沢竹子
人 形
大皿(御柱に魂宿る)
会員
高山 栄
陶 芸
綿乾漆盛器
 
瀧澤英則
漆 芸
私の思い
 
滝澤みゆき
陶 芸
みちしるべ
会員
竹内君則
陶 芸
つくねんと
会員
竹腰米子
人 形
街角(革人形)
 
多田井久子
人 形
寿香炉
会員
谷口節子
陶 芸
茶碗( 柿 )
 
塚田信治
陶 芸
安曇野涼風
会員
塚田光弘
陶 芸
七宝蓋物「秋想」
会員
月岡栄子
諸工芸
紫紅釉渦潮皿
会員
土屋 晃
陶 芸
とりあえず一杯どうぞ
 
坪内真弓
陶 芸
日出処ノ縁起物
 
坪内真弓
陶 芸
練上花紋大皿
 
寺澤里美
陶 芸
練上六角皿「雪の舞」
 
寺島ひとみ
陶 芸
練上薔薇文組皿
 
寺島ひとみ
陶 芸
孟宗竹灰釉茶碗
 
中谷隆夫
陶 芸
紬織着物「花音」
会員
中林康江
染 織
お福百態
 
中村栄年
諸工芸
鉄線
 
中村栄年
諸工芸
森の記憶11-1
 
中山 康
陶 芸
やどりぎ
 
中山 康
陶 芸
ブロスフェルトの残像
会員
西澤伊智朗
陶 芸
ブロスフェルトの庭
会員
西澤伊智朗
陶 芸
マンガン釉花器
 
西村純一
陶 芸
 
西村文男
諸工芸
椅子
 
西村文男
諸工芸
帰り道
会員
二宮ます子
人 形
水盤
 
野池光昭
陶 芸
清流に戯れる
 
橋田 誠
陶 芸
悠遠鳳凰
 
濱完治
染 織
藍輝
 
濱完治
染 織
何をか云わん
会員
浜 利秋
陶 芸
喜こび
 
濱博子
染 織
希望
 
早川和明
諸工芸
マット釉吹墨白樺図皿
会員
早川研夫
陶 芸
紫釉渦文壺
会員
早川研夫
陶 芸
花器
会員
原民雄
陶 芸
会員
原山桂子
人 形
出口のない迷路
 
福原基希
陶 芸
練上水紋水盤
 
古橋康弘
陶 芸
つの葉虫の旅
 
Kao(堀内薫)
人 形
リーフフィン
 
Kao(堀内薫)
人 形
融合
 
堀内珠実
陶 芸
サンクチュアリ
 
堀内珠実
陶 芸
薔薇貫入釉大鉢
会員
本間友幸
陶 芸
薔薇貫入釉大鉢
会員
本間友幸
陶 芸
花水木紋象嵌大皿
会員
松本邦之
陶 芸
組皿
会員
松本フサ子
陶 芸
Swing
 
丸山奈留美
陶 芸
飴釉白流紋鉢
会員
丸山正行
陶 芸
緑釉鉢「蒼瀑」
会員
丸山正行
陶 芸
黄瀬戸釉双耳花入
 
宮坂虔二
陶 芸
焼締大花器
 
宮坂虔二
陶 芸
伊賀花入「鎮魂」
会員
宮澤衛
陶 芸
布目線文大皿
会員
宮澤道隆
陶 芸
禾天目大皿
会員
村越久子
陶 芸
釉裏銀彩大皿
会員
村越久子
陶 芸
光と水の間
 
森あけみ
陶 芸
象嵌花器
会員
栁澤佑三
陶 芸
皿鉢 絞り咲きつばき図
会員
湯本万太郎
陶 芸
「幾何学」文様大皿
 
横道芳久
諸工芸
「ほおずき」文様中皿
 
横道芳久
諸工芸
黒釉象嵌花器
会員
吉田美恵子
陶 芸
青磁大鉢
会員
吉田美恵子
陶 芸
線文花器
会員
和田園江
陶 芸
線文長方花器
会員
和田園江
陶 芸

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北澤美術館「長野県工芸展秀作展」

「第31回記念長野県工芸展」入選作品の中から、

入賞作品およびそれに準ずる作品を

審査委員により選抜し展示します。


■会場:北澤美術館 本館

■会期:2011年10月3日(月)~10月16日(日) *会期中無休

■開館時間:9:00~17:00 ※閉館時間の30分前までにご入館ください。

■入場料:大人800円  中学生400円 小学生以下無料
団体(8名様以上) 大人700円  中学生300円 小学生以下 無料

本館・新館共通券/
大人1000円 中学生500円 小学生以下 無料
団体(8名様以上) 大人900円  中学生400円 小学生以下 無料

■主催:財団法人北澤美術館、長野県工芸会

■協賛:株式会社キッツ

■住所:長野県諏訪市湖岸通り1-13-28

■電話:0266-58-6000

本年度 選抜作品

漆抽象絵皿大徳
 
秋山泰宏
漆 芸
鉄仙
 
大塚里美
諸工芸
陶小紋 FUGI
会員
大石 操
陶 芸
たまごの時感
会員
大森国子
陶 芸
鉄線編盛皿
会員
小出文生
木 竹
刃裂彩花器
会員
篠田弘明
陶 芸
蒼い器
会員
篠田弘明
陶 芸
綿乾漆盛器
 
瀧澤英則
漆 芸
つくねんと
会員
竹腰米子
人 形
七宝蓋物「秋想」
会員
月岡栄子
諸工芸
紫紅釉渦潮皿
会員
土屋 晃
陶 芸
練上薔薇文組皿
 
寺島ひとみ
陶 芸
ブロスフェルトの残像
会員
西澤伊智朗
陶 芸
希望
 
早川和明
諸工芸
マット釉吹墨白樺図皿
会員
早川研夫
陶 芸
リーフフィン
 
Kao(堀内薫)
人 形
薔薇貫入釉大鉢
会員
本間友幸
陶 芸
Swing
 
丸山奈留美
陶 芸
布目線文大皿
会員
宮澤道隆
陶 芸
線文長方花器
会員
和田園江
陶 芸

 

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